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国立新美術館
国立新美術館
東京都港区六本木7-22-2


「加山又造」国立新美術館
展覧会は絵画や工芸など総数約100点で構成されます。戦後の日本画壇に常に新風を吹き込んだ加山又造は、伝統的な絵画に学びながら、その卓越した技法と構想力によって、日本画の新たな可能性を切り開きました。
本展覧会では、加山又造の没後5年を節目として、初期のみずみずしい動物画から華やかな屏風画を経て晩年の水墨の世界に至る、輝かしい画業の全容を振りかえるとともに、陶や着物、ジュエリーの意匠など多岐にわたる創作活動をあわせて紹介します。

会期: 2009 1/21(水)〜3/2(月) 展覧会は終了しました。
休館日:毎週火曜日
開館時間:10:00〜18:00、毎週金曜日10:00〜20:00(入場は閉館の30分前まで)
会場:国立新美術館 企画展示室1E


〜「美」の創造者、加山又造の世界〜

加山又造は絵画や版画だけでなく、陶芸や着物の絵付け、装飾品のデザインなど幅広い分野で才能を発揮しています。


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加山又造《千羽鶴》
《千羽鶴》 1970年 東京国立近代美術館蔵
第2章 時間と空間を越えて――無限の宇宙を求めて

〜展覧会の構成〜
第1章 :動物たち、あるいは生きる悲しみ――様式化の試み
加山は戦後まもなく、一連の動物画を描いています。ラスコーの壁画から、未来派、シュールレアリスム、そしてブリューゲルまで幅広く西洋美術から影響を受けています。その全体に共通する強い様式性に注目するならば、それは一方で伝統的な日本絵画とも深くつながっています。図案家のうちに生まれたせいか、物の形だけでなくその精神までも様式化することに熱中すると加山は語っています。沈黙に包まれた静寂な空間の中で、動物たちは「生」という一点に向かって精神を研ぎ澄ませているようです。
第2章 :時間と空間を越えて――無限の宇宙を求めて
1960年代半ばから加山は日本の古典絵画に倣い、《春秋波濤》、《雪月花》、《千羽鶴》といった作品を制作しています。日本絵画ではしばしば時も場所も異なるいくつかの風景を、一つの画面に描きこみます。加山はそこに近代以降の科学的な見方にしばられない、時間と空間を越えた無限の世界を見出しました。〜
第3章 :線描の裸婦たち――永遠のエロティシズム
加山は浮世絵の美人画のもつ美しい線に憧れて、一群の裸婦像を描きました。浮世絵は日本の女性が備えている美しさを、エキスとして抽出し、純粋化したところに生まれた日本女性の典型的な美のかたちともいえます。その意味で生身の人間を離れた普遍の女、属性としてのエロティシズムを描こうとした加山の裸婦には、浮世絵と共通したものがあります。鈴木春信、喜多川歌麿といった人々が描く女性たちとおなじように、加山も裸婦も透明感のうちにある不思議な存在感を漂わせています。
第4章 :花鳥画の世界――「いのち」のかたち
花鳥画は自然やそこに生きる生きものたちと、人間との語らいが紡ぎだす一編の詩のようなものです。画面に遊ぶ鳥たち、咲き誇る花々に、日本人は「いのち」の輝きと儚さへの思いを託してきました。そこのは華やかさに満ちた喜び、しみじみとした情緒、深い寂寥感に包まれた悲しみがあります。〜
第5章 :水墨画――色彩を越えた「色」
水墨画は「五感からときはなれた空の世界の空間」と加山が語るように、五感で感じ得る以上のものを象徴的に表現するところに水墨画の本質があるといえます。いわば精神性の極致にあるものとして、水墨画は東洋画の世界で尊重されてきました。遠い昔から多くの日本画家が、水墨画に憧れ苦闘を重ねてきたのもそのためです。〜
第6章 :生活の中に生きる「美」
加山の制作範囲は絵画だけでなく、陶器や着物の絵付け、緞帳や壁画や装飾品のデザインなど多方面のわたっています。それも画家の単なる手遊びではなく、それぞれが一つの創作活動として行われ、全体として加山又造の芸術を形づくっています。〜
同展は、6つのセクションで構成されています。その中から6作品を紹介します。

加山又造《夜桜》
《夜桜》 1982年 光記念館蔵
第4章 花鳥画の世界――「いのち」のかたち

加山又造《龍図》
《龍図》 1988年 光記念館蔵
第5章 水墨画――色彩を越えた「色」

加山又造《雪》
《雪》
加山又造《月》
《月》
1978年 東京国立近代美術館蔵
第6章 生活の中に生きる「美」
加山又造《花》
《花》
挑戦し続けた加山又造
加山又造は古典に<倣う(なら)>ことで、独自の世界を築き上げました。伝統的な表現を尊重したことはもちろんですが、制作の過程では現代的な新しい技術も好んで取り入れています。《月光波濤》(1979年、個人蔵)にエアガンやバイブレーター噴射器が用いられたことはよく知られています。そうした加山が晩年に、コンピューターグラフィックによる作品を手がけていたことは一般にあまり知られていません。今回、加山が画面上で制作していた犬や猫の画像をモニターでご紹介します。そこには、亡くなるまで常に新しいものに挑戦し続けた、加山の芸術家としての積極的な姿勢がみてとれます。

加山又造(1927-2004) ―現代日本画を代表する画家―
1927(昭和2)年に、祖父は絵師、父は京都西陣の和装図案家の家庭に生まれ、幼い頃から絵の才能を発揮しました。東京美術学校卒業後は山本丘人に師事し、戦後まもない1950(昭和25)年に第2回創造美術(後の創画会)春季展、秋の第3回創造美術展に入選し、若くしてその才能を認められます。西洋絵画の影響を強くうかがわせる初期の動物画から日本の古典に倣った華麗な屏風絵、線描の美しさを追及した裸婦、さらに北宋山水画に学んだ水墨作品まで新たな芸術世界を次々に展開し、戦後の日本画壇に多大な功績を残しました。1997(平成9)年は文化功労者、2003(平成15)年には文化勲章を受章しましたが、翌2004(平成16)年、惜しまれながら76歳でその生涯を終えました。

関連イベント(1)
・記念講演会「加山又造―その芸術の変遷」
講師:尾崎正明氏(本展監修者・東京国立近代美術館特任研究員)
日時:2009 1月31日(土)14:00〜15:30
会場:国立新美術館・3階講堂
定員:250名(先着順)
*聴講は無料ですが、本展の観覧券が必要です。

関連イベント(2)
・関連トーク「父 又造の仕事の周辺から」

出演:加山哲也氏(加山又造長男・陶芸家)ほか
日時:2009 2月8日(日) 14:00〜15:30 
会場:国立新美術館・3階講堂
定員:250名(先着順)
*聴講は無料ですが、本展の観覧券が必要です。

お問合せ:ハローダイヤル 03-5777-8600
展覧会公式サイト:http://www.Kayamaten.jp
主催:国立新美術館、日本経済新聞社
出品協力:東京国立近代美術館
監修:尾崎正明(東京国立近代美術館特任研究員)

参考資料:「加山 又造展」Press Release、他。


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